変動8-1 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

今まで生きてきて自分のことをとてつもない馬鹿だと何度も思った。
それは何かというと、好奇心に歯止めが利かないということだ。ありえないことであればあるほど、その先が見たいという欲求が止められない。アダムとイブがパラダイスを追放されたのも元はといえば、イブの好奇心のせいだ。
私自身も好奇心のせいで楽園を追放され、額に汗して地面を耕さなければならなくなったに違いない。
だけどそのことを後悔したことは一度もない。何も知ることの出来ない楽園は、私にとっての地獄だ。生まれたからにはとことん見たい、知りたい、体験したい。それが私にとって生きる意味でパラダイスだ。

別に肌を合わせるわけで無し、減るもんじゃ無し、私は既に知らない世界のその先に取り付かれている。
エイと着ていたワンピースを脱ぐと、もうパンティーとブラジャーだった。
「随分若い下着だな」スカイブルーのサテンに黒いレースの縁取り。
「気に入らなかった?最近売ってるのはみんなこんな感じかな」
「良い、気に入った。下着取って」
「もう?結局気に入ってないじゃん」
「無いほうがもっと気に入る」
「ちょっと、そっちの顔写ってないじゃん、なのに私だけ素っ裸?」
「映そうか?」
「や、顔映ったら多分恥ずかしくて脱げない。そんなにお見せするほどのものではないんだけど。若い子の写真とかAVとかそういう方が良いと思うよ」
現実感がないからPCの前で素っ裸になった。羞恥心も感じなかった。徹もいろんなストレスが溜っているのだろう。たまにはそんなことから開放してあげても良いじゃない。
「これでいいの?」
「綺麗だ……可愛い……舐めたくなるよぉ……」
言われたとたん恥ずかしくなる。画面の向こうでは何もかもが映っているはずだ。